普通で稀有なひと

今年も残すところあと1ヶ月となってしまいましたが、非常に後悔というか思い残すことが一つあるのです。


夏頃に発売されたananのセックス特集を買い逃した事を今更ながら悔やんでいるのです。


目当ては向井理クンの半裸写真…ではなく、原紗央莉さんと鈴木一徹さんが出演している付録DVD。これが見てみたくてですね…
内容はあまり期待していないんですが、AV以外の方が撮られた鈴木一徹さんてどんな風に映っているのかなぁという興味でして…


私が初めて鈴木さん(と呼ぶとしっくりこないので「一徹さん」と呼ばせて頂きますが)を見たのは、確か4年位前に『まさか叔母ちゃんに筆下ろしされるとは…』(東京音光)なんていう脱力感漂うタイトルの作品で息子役をやられていた時で、「なんなんだ、この、昨日田舎から出てきました的な垢抜けなさと素朴な可愛らしさは!」と衝撃を受けた事を覚えています。

イケメンAV男優数いれども、一徹さんの持つ雰囲気はなんというか、小学生の頃に好きだった男の子を思うような甘酸っぱい感覚を掘り起こされるといいますか。遠藤憲一さんやハートマン軍曹(『フルメタルジャケット』)の苦み走った男の色気で濡れる私ですらグッときてジュンとしちゃう、一徹さんの「普通っぽさ」。
そんな男優然としていないごく普通の男の子っぽさが新鮮でファンになってしまったのですが、最近ネットを徘徊していたら、このananのDVDを見て一徹さんを知ってファンになったという女性が大勢いらっしゃるようで、なんか面白い傾向だなと思いまして。一徹さん、現在はご結婚されてお子さんも出来たそうなので、それによって“anan一徹フィーバー”は若干沈静化したのかもしれませんが…

でもどんなに下ネタ話す男前俳優やミュージシャン、となりの兄ちゃん的な手の届きそうなアイドルタレントだって、おちんちん出してセックスする姿までは見せてくれないわけで、それを見せてくれるんですよ、ジャルジャル後藤君似の爽やかなイケメンの一徹さんは。いわばセックスアイドルですよ。

そういう部分に魅力を感じてAV男優に萌えて、AVを観るようになる女性が沢山現れるっていう現象は面白いし、前からもいたと思いますけど、そういう女性(いえ男性だっていると思いますが)がこれからも沢山いればいいなぁと思います。だって面白いし楽しいですから、一徹さんみたいなひとのセックスが見れるなんて。

と言いながらも、女優さんに比べて男優の方って情報量が圧倒的に少ないし、作品数も膨大なのでコンプリートなんて出来っこないし、どの作品に出ている一徹さんがいいのかとか、自力で探すのは大変だし、ネットでもそんなに数多く紹介されているわけではないし……という訳で、木下のお薦め一徹作品をいくつか挙げてみます。


『SweetMix 水野あさみ』(宇宙企画
パッケージはこちらで見られます→http://www.dmm.co.jp/mono/dvd/-/detail/=/cid=61mds297/


2作品が収録されていて、『桃の天然乳』の方に一徹さんは出演されているのですが、本編の方ではなくて特典映像で見られる水野あさみさんとの素のセックスでの一徹さんが良いです。


一徹さんは黒いパンツに白の長袖シャツ姿で、後ろ髪若干長めの伸びた茶髪をワックスで遊ばせていて、ヒゲの剃り残しやアゴにうっすらニキビがあったりと、カッコいいけれどまだ垢抜けていない感じが残っていて、良いです。
何故か自らパイパンにしているという水野さんを、優しく、時に「○○でちゅか」なんていう赤ちゃん言葉であやしながら、そのパイパンを弄りつつ、常に言葉を交わしながら絡んでいくスタイルなのですが、本編の方で監督から「今一つ、好奇心や感情の揺らぎが見えにくい娘」と紹介されていた水野さんという女の子の、打っても響かない手応えのなさからも何かを引き出そうと懸命に向かっていく姿に、「ああ、いい男の子だなぁ」と好感持って見てしまいます。


セックスに対する欲望が全然見えなくて、基本されるがままにしかなれない性的に未熟な感じの水野さんに、「これからオレと喋る時は赤ちゃん言葉で喋るんでちゅよ」と優しく命令して絡みの方向性を作っていこうとするところに、男優としての才覚を感じさせられたりしますね。
他にも、服を脱がせる時に「バンザイしてごらん」と言うと水野さんは嫌がって「いやでちゅ」と抵抗するんですが、一徹さんは「自我が芽生えたんでちゅね、この子」と間髪入れずナイスなアドリブを返したり、カメラにおまんこを突き出すポーズを取らせながら、脇の下を見られることを恥ずかしがっていた水野さんの耳元で「脇が丸見えなんだぞ」とちょっと意地悪に囁いたり、フェラチオの時にいきなりパンツ下ろしておちんちんを触ろうとする水野さんに「おっ、いきなり脱がせるのはマナー違反。フランス料理でも食前酒とかあるでしょ。初めはパンツの上からゆっくり舐めたり、乳首もそう」とたしなめたり……

この時(2005年)一徹さんは男優始めてどのくらいの頃だったのか分かりませんが、「これから伸びるよこのひと」と、当時の私はエラそうに上から目線な感じで、でも本気でそう思って見ていました。


多分この作品の監督との初現場だったと(私が見ている限りでは)思うんですが、一徹さんが監督の意図だとか撮ろうとしているものをしっかりと理解し汲み取って動いている感じが伝わってくるんですね。

水野さんの「いやでちゅ」の後、カメラを回している監督が「パイパンを見られるのは何てことないけれど脇の下を見られるのは恥ずかしい」という乙女の心理に気付いてそれを指摘すると、笑いながら照れて顔をカメラから背ける水野さんに、一徹さんは「図星だ。可愛いなおまえ」と頭をなでなでしながら、すかさずそこを責めにいったり、監督が「エッチな言葉が恥ずかしくて言えないんだね」と彼女に言葉を投げかけると、「男の人嬉しがるよ。言ってくれる? おちんちんしゃぶりたいでちゅって言って」と言葉を重ねていったり、この監督の求めていること(挿入部分のアップとかエグい体位を見せるとかではなく、女の子の内面を見たい、この娘のほんとうの部分に触れてみたい、そんな想いだと思います)を即座に汲み取って女の子にぶつけていく、その頭と体の動かし方が抜群に上手くて、なおかつその行為のすべてから女の子に対する思いやりが感じられるので、見ていて心地いいんですね。


けれど逆に言えば、これだけ常に周りに他人に気を回しているってことは、自分を殺すことでもあるし、大変だろうし、AV男優という仕事自体、ある種の図太さや精神力を持ち得ていなければ成せないことだと思います。
そんな強さを持っているとしても、気を遣わずただただ自分自身が我がままに振る舞える場所が一徹さんにあるのだろうかと、そんな心配もしたり…って、もうご結婚されたのだし、まったくもって余計なお世話なんですけどね…。


他作品に出ている時もそうなのですが、一徹さんて相手の娘の反応をじっと見つめているんですね。
一徹さんファンにとっての萌えポイントであろう「女の子を見つめる優しい眼差し」はこの作品ではそんなに収められていないんですが、私にとってはその眼差しくらい、グッときた場面がありました。


正常位で腰を動かしながら、目を瞑ったまま微かに喘ぐ水野さんに「オレ(のこと)好き? 好きって言って」と求め、素っ気なく「好き」と答えた後ちょっと笑った彼女に、「自分から告白したことってある? カラダだけなの? 傷付くのが嫌なわけ?」と一徹さんが、それまでの流れとはちょっと違う口調で言うんですね。カメラが回っている中セックスしながら、それでも何か鋭く刺さるこんな言葉を言える人って、あまりいないと思います。