『監禁×姦淫2  杉浦美由』

前回に引き続き、木下のお薦め一徹作品を挙げてみます。


『監禁×姦淫2 杉浦美由』(オペラ) 監督 村岡哲也
パッケージはこちらで見られます→http://www.dmm.co.jp/digital/videoa/-/detail/=/cid=oprd009/


あの素朴なお顔立ちとラブリーで甘〜い雰囲気から、恋人設定でのラブラブなセックスや、学生服の高校生、ニ―トの青年、近親相姦モノの息子役を演じることが多い一徹さんですが、この作品では今まで見たことのない表情を見せていて、「えっ? こんな芝居が出来る人だったの?!」と驚かされます。佇まいが、存在感が、いつもの一徹さんと全然違うんですよ。


杉浦美由さん演じる女子高生を拉致し、3人の男がレイプと凌辱の限りを尽くすという、一徹さんファンなら一見敬遠するような内容のドラマ作品なのですが、一徹さんは仲間の男2人とつるみながらも凌辱には参加せず、退屈そうにニンテンドーDSをプレイしているどこか虚無的で退廃的な青年役。

監禁のリーダー的男(デモ田中氏。胡散臭い外見と粗野な博多弁が適役です)と、その子分的男(長谷川漢氏。スキンヘッドで一番の強面。普段は監督として凌辱モノを撮られていますが、今作では妙に愛嬌のあるチンピラ演技がハマってます)がビデオカメラを手にし、「これでAVでも撮るか」と悪ノリしながら女子高生を拉致して暴行するという、昨今の“理由なき犯罪”を思い起こさせるような、退屈を持て余した時代の空気が全篇に渡って漂っているのですが、そんな中で確かな存在感を示す一徹さんの抑えた芝居が素晴らしいんですね。
一徹さんのラブラブなセックスに萌えてらっしゃるファンの方にも是非見て欲しいです。


物語の方も見応えがあって、中盤、拉致仲間のアダルトビデオ屋の店長(一条真人)を美由がナイフで刺し殺してしまう辺りから、一徹さん演じる無感情な青年が何かしらの意思を持って動き出し、事態に慌てふためく仲間達を尻目に、血まみれになった少女にカメラを向けます。

バスルームで彼女の汚れた制服を洗い、走る車の窓から手を伸ばし制服を乾かす一徹さん。このさりげないカットで、彼が恋心でもない同情でもない、しかし彼女に対して何らかの気持ちが芽生え始めたような変化が表わされていて、なんてことないシーンなのに何故かエモ―ショナルで、見ていてドキドキします。

その後、屋上で男物のTシャツと短パンを穿いた彼女が制服に着替える場面にて、2人の間に何かが通い合ったことを思わせるような束の間の視線の交差があるのですが、美由を見つめる一徹さんの眼差しと、階下から一徹さんを見上げる美由さんの目。この時の2人の表情が凄くいいです。凌辱モノのビデオを観ているはずなのに、何故こんなに胸をキュンとさせられるのかと。
でもここで、何故この役に一徹さんが選ばれたのかが分かるような気がするんですね。
そしてこの視線のやりとりが、最後にある一徹さんと彼女のセックスの伏線にもなっていたりします。


物語はその後、美由の恋人(黒沢透)を巻き込み、強制放尿や凌辱セックスへと続くのですが、セックスが終わり、グッタリしている美由を見ながら退屈そうに男達が呟きます。
「あのさあ…このエロビ、面白いと思う?」「面白いわけねえじゃん」

それを聞いていた一徹さんは、「俺が面白くするよ」とおもむろに立ち上がって美由を強引に抱きしめキスをし、「俺ねえ、キミのこと好きだよ」と言って彼女を抱くのですが、このセックス、一徹さんめちゃくちゃ気持ちが入ってます。彼女を抱きしめたその時に、すでに耳が赤いんですね。


以前、ドグマのノーマルKIM監督の『冷たい性欲の少女達』の撮影現場に行かせて頂いた時に、生の一徹さんを初めて拝見したのですが(嬉しくて嬉しくてそりゃもうガン見しましたよ)、かなり気合の入ったドラマもので、監督やスタッフ、女優さん共にテンションが高く、もの凄い熱量を感じる現場だったのですが、この時のセックスでも一徹さんの耳は赤かった。


撮影中の現場のスタジオはどこだって実質的に暑いし、一徹さんは色白だから紅潮具合が分かりやすいというのはあると思うんですが、すべての作品でそうなっているわけではないし、気持ちの入る役だったり現場だったりすると、それがそんな風に体にも現れるんだろうな、と。
ドラマの中であっても、演技ではない何らかの心情がふとした瞬間に見えたりするとグッとくるし、胸を掴まれたりするんです。この作品の、一徹さんのその紅潮する耳に私がグッときてこの美由さんとのセックスに惹き付けられるのは、そういうことなんだと思います。

キスの途中で唇を離し、彼女の目を見て言う「俺ねえ、キミのこと好きだよ」は、ドラマの台本のセリフで虚構だけれど、嘘じゃない。

画面の中の存在でありながらも女性達(もちろん私も含む)の心の中で恋人のように寄り添うことが出来る、一徹さんが多くの女性を惹きつけるその人気の理由は、こういうところにあるんじゃないかなと思います。


物語のラスト、警察に通報した恋人から逃れ、また3人の男のところに戻ってきた美由。動揺する仲間達に向かって一徹さんが「ラストシーン撮ろうよ」と提案します。件の屋上で、パトカーのサイレンが近づく中、そのラストシーンが撮影されるのですが、これがなんともイカしてます。今までの出来事があっと鮮やかに裏返る痛快なラスト。
実は美由も男達と同じような退屈さを抱えた少女だったというこの落としドコロに唸らさせられます。



今作の監督は前回紹介した『桃の天然乳』と同じ人なんですが、女の子を輝かせるのも上手いけれど、男優である一徹さんの魅力を一番引き出せるのもこの人なんじゃないかなと思います。


この作品、もう廃版になっているらしく、お店では見つからないかもしれませんが、上記のDMMで宅配レンタル出来ると思うので、どうか是非観てみて下さい。