『ロリロリパイパン』

昨年末、TOHJIRO監督の圧勝という結果が出たD1クライマックス。
AV監督ナンバーワンを決めるというこのイベントに、私がお金を出して買って見たのは『パラダイスオブトーキョー』と、この『ロリロリパイパン』でした。
『パラダイス〜』はもう単純にカンパニー松尾監督ファンなので、プラス周りの「傑作!」という声に迷うことなく購入。『ロリロリ〜』は黒田さんの「ビデオ・ザ・ワールド」誌での連載に書かれていたこの作品への思いや、インタビュー記事などを目にして、その気合いの入りっぷりに期待して、思わず購入してしまいました。


『ロリロリパイパン』(ドグマ)監督・黒田将稔


全裸の美少女(早乙女みなき)が白ハイソックスに紺ベレー帽、ランドセルでこちらを見つめている綺麗めなパッケージを見ても別にピクリともしないのですが、裏パケを目にして内容を知った途端「は、早く見たい!」となりました。


「ロリ」で「パイパン」をテーマに、早乙女みなき主演・幼女にいたずら系のドラマパートと、監督の実妹出演?の壮絶なドキュメントパート、2編が収録されています。
どちらを先に見たいかといったら、そりゃ「ドキュメント!」でしょう。
「妹をパイパンに!」の方に決まってます!
そんなこちら側の下世話な趣味を監督は見透かしているのか、全部いっぺんには見せてくれません。いい所で「つづく」となり、可愛いみなきちゃんのいたいけな少女凌辱ドラマが始まってしまうのです。
ドキュメント→ドラマ→ドキュメント→ドラマを繰り返し、とうとう迎えた結末に、がっかりしたような納得させられるような、そんな気持ちにさせられながら、それでも見終えて残るものは、黒田将稔という人の業の深さでした。

観た人なら誰もが感じると思うのですが、黒田さんはAVと私生活の境界線がまったくない人のように見えるのです。(作品の為にそう自己演出しているようにも見えない)
「何故僕は男優をやっているのか」という自問自答も、家族の問題も、仕事を理解してくれない妹との軋轢も、その全てと本気で向き合いつつ、同時に「妹をビデオ出演させる」という鬼畜行為を遂行しようとする黒田さんの心理ってものがですね、私はとても計り知れないです。


作品中に語っている「AVだからって特別な仕事じゃないけん」という言葉。しかし「理解されない仕事だからこそ面白い」と、そう言い切れる黒田さんだからこそ出来ることなのでしょうが・・・


黒田さんて、その作品や文章などから窺い知るに、普段からも「鬼畜ですね・・・」としか言いようのないセックスライフや日常を送っているようですが、やりたいように滅茶苦茶やっていながらも、しかし何ひとつ満たされていなさそうな底知れぬ飢餓感や、悶々とした佇まいがあって、そこに私は惹かれます。


黒田さんの監督としての才気みたいなものはドキュメントパートで充分窺えるのですが、「女の子の見たことない表情を引き出せる監督」としても、黒田さんはかなり凄いんじゃないかと感じました。
早乙女さんのイメージシーン。徹底したスタイリングで本物小学生のように見える早乙女さんが、蛇口から落ちてくる水を手のひらですくって飲む場面。あの時の表情、あの目はちょっとやそっとじゃ引き出せないですよ。
監督の愛情や執念が篭っているというか、その思いを女優さんが受け止めて全身で返している。そんな時に見せる目です。
井口昇監督が撮った倉本安奈さんも、あんな目を見せていた気がします。


D1クライマックスの授賞式で黒田さんは「早乙女みなきちゃんのドキュメントパートを撮ろうと思っていた」と話していました。撮影が終わった後、作品をやり終えた達成感からか、監督と女優を超えた特別な感情がお互いに芽生えたらしいのですが「そこで僕が口説いて素の彼女とのやりとりやセックスを見せたかった」と。
でもそれは、ものすごく微笑ましいある理由から「出来なかった」ようなのですが・・・


見たかったですね、それは是非とも。