『宅配ソープでございます メイファ』

「その時だけでも相手にどれだけ尽くせるか。帰ってからケッて言ってたとしても、その瞬間どれだけ相手をうまくダマくらかせるか」
「テクニックがいくらあっても気持ちが通じ合わないとやってもしょうがない。イッちまってサヨナラじゃ単なる作業でそれ以上でもそれ以下でもない」


この作品の主演女優メイファさんの発言なのですが、彼女のプロ根性と真心が垣間見えるいい言葉だなと思います。


『宅配ソープ〜』は素人男性の自宅へ女優さんが出向き、ソープのサービスと無償の愛を届けるという、レンタルメーカー・アトラスの人気シリーズでした。
その第一作目に出演したのがメイファさんという、中国と日本のハーフの女優さんです。


なかなか面白い人なのですよ。
AVなんてジョーダンじゃねえ!って感じの、何でビデオに出たのかが分からないタイプの人なのですが、最初はやっぱりこのビデオでも、こんな仕事冗談じゃないという気持ちが態度に出ているんです。取り繕ってはいるけれど、なんで私がこんな素人男にこんなことしなきゃならないの、みたいな本心が透けて見えるんです。


ところが、だんだんと心がこもってくるのですよ。せめてこの瞬間だけでも親身になってやろうという、女としての優しさや心意気のようなものが感じられてくるのです。あ、気のいい女性じゃないかと思えてくるのです。


これは多分、今作の監督・高槻彰氏のおかげでもあると思うのです。高槻監督は、女優さんのいい部分を引き出すのが上手いというか、AVギャルとかモデルさんとしてではなく、生身の人間として真剣に接するので、上面だけでないその人の内面が(良い部分も悪い部分も)見えるのです。

高槻監督のビデオを見ると「人間て捨てたものじゃないなー」と思えるんですよね。

このビデオに出てくる2人目の素人の男性。
ちょっと対人恐怖症っぽい感じのぎこちない表情をする人で、24歳童貞。マットプレイの最中、メイファさんから「無抵抗の人を逆レイプしてるみたい」なんて言われてしまうほど反応がなく、お風呂の中での潜望鏡(湯船でフェラチオするプレイのことです)の時にも「普通にやる方がいいような気がするんですけど・・・」とか言っちゃうような、そんな人なのですが、この時メイファさんとのセックスで初めてイケたらしいのです。
けれど特に表面上での反応を見せない彼に高槻監督は「感動がない人ですね」と苛立ち気味。しかしそんな彼を「彼はねえテレてるんですよ。感動がないんじゃなくて」とフォローするメイファさん。

ほんのちょっと、心が温まりました。

プロ根性と真心。それがメイファさんの、セックスを生業とする女性の、女としての優しさだと思います。