「火サス」なき後に始まった

日本テレビの2時間ドラマ枠「ドラマコンプレックス」にて先日、荒井晴彦脚本(正確には共同脚本みたいですが)、後藤真希主演の松本清張ドラマ「指」が放送されていました。
このドラマ。携帯電話が普通に登場しながらも、「愛欲にまみれたスキャンダラスな人生を送るレズビアン女優」という題材が古めかしくて、またそれを演じる後藤真希も「女の凄み」とか「情念」といったものを表現するにはまだまだ全然足りない感じで、想像通りイマイチな出来でしたが・・・



『Fヘルス嬢日記』 
というVシネマがありまして、これも古めかしいストーリーではあるのですが、タイトルからは想像できない切なく哀しい物語が展開される泣けるドラマなのです。


脚本・荒井晴彦 主演・真弓倫子 監督・加藤彰
96年東映ビデオより発売。


手作りの弁当持参で働くヘルス嬢のヒロイン(真弓倫子)にひとめぼれした電気修理工の主人公(金山一彦)との純愛物語。


決して、冴えない男が心優しき風俗嬢に恋をして、彼女の方は適当にあしらいかわしつつも情熱的な男の誠実さにやがて心を開き、ついに二人は付き合い始める・・・
そんな安い電車男的な物語にはならない所に、他のH系Ⅴシネにはない作り手の志を感じさせられます。


純粋な気持ちで「好きだ」と言われれば言われるほど、普通の道から外れている今の仕事をしている自分自身を許せなくなり、パニック状態になり、開き直り、そして諦める女心がリアルで切ないです。

特別魅力があるわけでもなく、特別誠実でも一途でもない。
ただ単に彼女に惹かれただけの男、金山一彦の佇まいもリアルで切なく、泣けました。