木下の日記・番外編(非エロ)

私は普段はスーパーのお肉屋で働いているのですが、そこのお客さんで、いつもご贔屓にして貰っている熟年のご夫婦がいるのですね。
ご贔屓とは言っても、毎回来られる度に「そこの最高級のサーロインステーキ、全部頂戴」というタイプではなく、普段はパックのお買い得品を、そして月に2、3度はちょっと質の良い肉を購入され、売り場の前を通りかかる度に「おねえちゃんおはよう」と声をかけてくれる穏やかで気のいいご夫婦なのですが。


そのご夫婦の旦那さんの方からですね、先日「うちには息子がいるんだが、今度連れて来るからもしよかったらお付き合いしてもらえないかな」と縁談持ちかけられまして、お得意様ゆえやっきになってお断りするのも悪いなあと、実に中途半端な答えでお茶を濁していた所、本日やって来てしまいました。


息子さん登場〜〜〜。


嗚呼このご夫婦にこの息子あり、てな感じの、全身イトーヨーカドーコーディネイト、てな感じの、「25年間女性と付き合ったことないんです」てな感じの、DT爆発、てな感じの。


腰の低〜い奥ゆかしい態度で、無言で名刺を渡されました(笑)
再生紙を使った会社の名刺に、手書きで携帯と自宅の電話番号が書いてありました。




理想の男性は『フルメタルジャケット』のハートマン軍曹赤犬のヒデオさんと『JACKASS』のスティーヴォ、な私の好みとは、間逆な彼。。。


せめてこの彼に、あっと驚くサムシングでもあれば、思いも寄らぬ性癖の持ち主であれば、付き合うまではいけなくとも、「お茶でもしますか」くらいには思えるのですがねぇ・・・


実はノイズバンドを組んでいる とか
実はハナタラシが好き とか 
実は伊集院光のラジオリスナー とか
実はオダギリジョーと従兄弟 とか
実は「ソドムの市」が好き とか
実はこの日記を読んでくれてる とか
実はバカサイハガキ職人 とか


ああどれもあり得なさそうです・・・



親の決めた相手と何の葛藤も躊躇もなく付き合おうとする25歳の成人男性。貴重な存在かもしれません。きっと真面目ないい人なのでしょう。
でも、そんな人つまらない・・・。



そのご夫婦(+息子)「また来るから今度は ○○ちゃん(私の名前)の連絡先教えてね」と旦那さん。今まで買われたことのない、最高級の牛肉をお買い上げ下さいました。多分、今夜の食卓にはすき焼きが並んだことでしょう。「あの子どうだったか?」「いい娘さんでしょう」そんなことを言われ、彼はまた顔を赤らめたのだろうか?



私がこんなことを思っているなんて、気づきもしないで、鍋をつつきあう熟年夫婦とそのひとり息子。
そんな風景を想像して、むしょうに胸が痛くなる。 そんな夜を過ごしています。


ああ困ったなあ・・・




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後日談。
本日、奥さんの方がお店に来られました。
昨夜一晩中考えた台詞「すみませんが私いま好きな人がいまして、ご期待に副えなくて申し訳ないです・・・」と伝えると、少し淋しそうな顔で「ああそうですか・・・ごめんね」と言って帰って行かれました。


ああ胸が痛い。。。。
なんかもう2、3日AVって気分にはなれません(泣)