『少女は挿入される生き物』

ちょっと前に知り合った男の人からこんな話しを聞きました。
「オレの知り合いにAVマニアのロリコン野郎がいてさ、小○生の援交裏ビデオ見て死ぬほどオナニーしてるって奴なんだけど。そいつが抜きまくったビデオってのがあって、そいつ曰く『可愛くないんだよその子。でもその可愛くないところがリアルで興奮するんだよ。ああこんな普通の子がこんなこと〜って思うとさ』なんて言ってた」

・・・そんなロリコンビデオマニアの男性は、このビデオを見たらどう思うのだろうか?


『少女は挿入される生き物』


史上最大のAV祭り「AV OPEN」http://www.av-open.com/avopen/
若手監督による「チャレンジステージ」参加作品です。http://hamajimopen.com/

            
***注意**** 
(一部ネタバレ箇所あります。前情報なしで見たい方は読まないで下さい)


まず、ジャンルとしてはロリコンビデオです。
でも、その即物的でありながら、どこかもの哀しげで叙情的でもある秀逸なタイトル(町田ひらく的?)から感じとれるように、そして『UFO』というAV史上に名を残す(?)傑作を撮ったハマジムの堀内ヒロシ氏が監督であることから、並の「ロリコンビデオ」で終わるはずはありません。


「ねね」「ひな」「ゆめ」3人の少女(そろいも揃ってR15な危うい雰囲気のモデルさん)とのセックス。
「おちんちんかたい・・・」と呟いた後の、カラダをビクッと振るわせる仕草がウブさを物語っているかのような「ねね」の美少女ぶりと、黒髪に大きな瞳と鼻ペチャのロリータフェイス&スク水姿がめちゃ可愛い「ひな」のドメスティックな欲望を秘めていそうな霰もないあえぎ声、そしてそのふたりよりもルックスは劣るものの、実父に連れられ見知らぬロリコン男達に連続生中出しされる「ゆめ」のハードなセックスといたいけぶりは、ストレートにロリ好き男性の劣情を揺さぶることでしょう。少女の肉体が持つエロスみたいなものを余すところなく撮りきったカメラワークと編集も見事です。


しかし、商品としては素晴らしいけれど、個人的な琴線に触れるものは無いまま、そろそろビデオも終わりかと思っていた矢先、先程の「ゆめ」のパートが実は彼女自身の実体験であったのだと明かされ、場面は彼女の面接風景へと遡ります。
ここからです。並のロリコンビデオから目の離せないドキュメントへと変貌するのは。


10歳の頃から義理の父親と関係を持ち、その知人のロリコン仲間からも犯され続けていたという21歳の「ゆめ」。見た目も雰囲気も小学生のような彼女(AV的に形容するなら「岡本真夜似の地味ロリアキバ系眼鏡っこ」)が、中2の時以来会っていないという父親の元を訪ねるという展開は、さすがハマジム!そして「女の子の心情が見えないビデオには興味が持てない」と語っていた堀内監督ならではと思います。


幼いながらに(家庭の中ですら)性的視線を浴び、男達から慰み者にされ続け、その様子をビデオに撮られていた(しかも彼女の母親はそんな事実を知っていながらも、そのロリコン旦那と別れたくないがゆえに、祖母の元へと駆け込んだ彼女を呼び戻したのだそうです・・・)そんな少女が成人を迎え自らAV出演。
生れた瞬間から性とは切れ離せないドラマ(物語)を背負い続けていますなぁ・・・と、思わず深い溜息が出てしまいますが、肝心なのは「罪悪感はなかった。ただお母さんがこのことを知ったら可哀そうだから黙ってた」と言う彼女が義父に対して持つ、心の傷ではない「何か」


10歳と39歳の、合意の上での関係性、であったのか?
ロリコンだから私だったの?それとも、ただ幼いからだけではない何か別の感情を私に持っていてくれてたの?」


少女を穴として扱いきること(=少女は挿入される生き物)で、そんなふうに少女を取り囲むあんまりな現実から目を背けて、だからこそ商品として成立している数多くのロリコン漫画やAVでは、決して描けないもの。


こんなものをサラリと撮って「AV OPEN」という注目度の高い大舞台で発表してしまう堀内監督。見る人の心にいつまでも残る棘を刺すような、そんな作品だと思います。