『やりまんin富士』

PORNOGRAPHにて、1日1作品ずつ公開されているH-1グランプリエントリー作品。
全作品30分。うち最初の10分間がこちらで視聴可能となっています→http://www.pornograph.tv/main/index.html


その中からまずこの作品の感想を。


『やりまんin富士 日本一高い場所でSEXするどスケベ!?』


世界初のUFO映像をカメラに収めた『UFO』や、日本の性文化「48手」に続く新たな体位を考える『48手+1』、ADがホームレス体験する『ホームレスFUCK』や、何故だか追い続けている男優・田所氏が断食したり徒歩で日本縦断(現在撮影中)したりする非エロドキュメントなど。
深い意図があるのか単に思いつきなのか、とりあえずAVでは誰もやらない前代未聞であることだけは確かなチャレンジ精神溢れた企画を生み出す堀内ヒロシ監督の作品です。


愛嬌のある目元にダンゴッ鼻、ちょっとアジアな感じの人懐こい笑顔がどことなく長瀬愛に似てるAV初出演の21歳の水城まいが、監督に「やってみたいことは何?」と聞かれ「富士山の頂上で一発」と答える面接風景と、登山ウェアに身を包み山を登る彼女の姿が交互に映し出されるというオープニングなのですが、この展開のスピーディーさが見事です。登山中の彼女に「性感帯は?」とか聞いてるバカバカしさもよいです。30分作品だというのに、ほんとに富士山に行っちゃう堀内監督のフットワークの軽さと勢いにまず脱帽。「でもこれってAVとして成立するのだろうか?」と心配させられるヒヤヒヤ感も含め、興味を惹かれる出だしです。


悪天候の中、まばらな登山者に続いて登り始める彼女と撮影隊。順調に行くかと思われた矢先、彼女は高山病でダウン。作品としてなんとか立て直そうと監督がロッジでの逆ナン指令を出すものの、それを涙で拒否する彼女。「日本一になりたいから、富士山の頂上で一発」なんて言っていた彼女の能天気さの裏に張り付いている弱さみたいなものがポロポロと垣間見えてくる展開に・・・


ネタバレになるので詳しくは書けませんが、それでもなんとかセックスは完遂され、晴れ晴れとした彼女の表情にホッとさせられるのですが、個人的には最後にテロップで出る監督のまとめ方の上手さに膝を打ちつつ、しかし釈然としないものが残るという妙な感覚に・・・


この特異な企画が彼女のエロさを引き出していたかというと、う〜んと唸らざるを得ませんが、ひとつ思ったことは、素人さんのエロさというよりも、ビデギャルの特性みたいなものが出ている作品なのではないかと・・・
撮影に来てるのに携帯ばっか気にしてるところ。自分の欲望に副って生きているところ。覚悟がなくて途中でやめちゃうところ・・・
それでも、「ヤリマン」ではなく「やりまん」というところに、堀内監督のやさしさというか「でも嫌いになれないんだよなぁ」という、諦めにも似た思いがこもっているような気がしました。