真面目でエロいAV監督 長江隆美氏

FAプロを退社し、設立したレーベル「ながえStyle」よりリリースされた『償い』が「ビデオ・ザ・ワールド」の2006年下半期1位を獲得した長江隆美監督にインタビューさせていただきました。


『償い』の1位については「予想外でした」とのことでしたが、なんと長江監督はFAプロ時代にも『償い』というタイトルの作品を撮られていたのです。同タイトル同テーマで今回再び撮られたのは、恩師であり師匠であるヘンリー塚本監督から言われた「ある言葉」に対するリベンジであったということが判明したのですが・・・
この「ある言葉」というのがですね、FAプロというメーカーを象徴する塚本監督の魂のこもった「意思」であり、長江監督を現在の作風へと導いた「指標」でもあり。同席していたワールドの毒舌編集長も「素晴らしいですね」と感嘆した、その「ある言葉」とは・・・? 
気になる方は、3月発売の「ビデオ・ザ・ワールド」4月号でご確認くださいませ。(ちなみに木下初のインタビュー仕事です)


長江監督の印象を一言で言いますと「真面目でエロい人」でした。
作品から溢れ出るどエロな妄想力と、物語にリアリティを持たせるディテールの緻密さ。そして一貫した倫理観。
以前、雑誌か何かで杉作J太郎氏(エアセックスの考案者ですね)が「オナニーする時には相手の女性の家の間取りまで想像しないと気がすまない」というようなことを言っていたのですが、作品を見ていたら分かるように、長江監督もきっとそんな「職人的オナニスト」なのであるのだと思います。長江作品を見ると「お手軽に、簡単に抜いてちゃイカンなあ」と、(おちんちんも生えてないくせに)私はそう思うのであります。。


監督が「ずっとやってみたかった」と語る、性同一性障害を題材にした新作『ボーイッシュ・ガール』も、これまた賛否両論を呼びそうな「問題作」です。テーマとエロがこれほどまでに両立し、成功しているAVを観ることはなかなか無いかと思いますし、完全に男になりきった女優・篠原さゆりさんと桜沢まひるさんの凛々しき佇まい(宝塚風)は見事。
それゆえに物語に哀しさと興奮は増すのですが、長江監督が提示する「自分は男だと思っている女性が精神と肉体をめちゃくちゃに凌辱される究極のレイプ」に興奮を感じるか否かで、評価はまっぷたつに分かれそうな気がします。


以前、作品で透明人間を登場させた時(『自慰にふける熟女たち』FAプロ作品)ユーザーさんからの賛否両論が凄かったそうです。その事に対して「だったらやめる、普通のエロに戻るというのは嫌なんです。それよりかは何か別の方法を探し出してやりたい」という言葉に、長江監督の反骨精神と柔軟さが現われているように感じました。