『私を女優にして下さい AGAIN』

『実録素人ドキュメント 私を女優にして下さい AGAIN  川越・錦糸町・横浜 やっぱり巨乳だ!復活編』 監督:カンパニー松尾


タイトルが変わろうと、メーカーが変わろうと、松尾監督が一貫して撮り続けていた「応募系素人ハメ撮りドキュメント」 その元祖であり、原点である『私を女優にして下さい』が5年ぶりの堂々復活であります。


新作ではもう2度と聞けることはないだろうと思っていたあのテーマ曲がサワリだけ流れ、5年ぶりの感慨に耽る間もなく登場するのは、川越在住の川越さやかさん。
33歳で2人のお子さんを育てながら洋服関係の仕事に勤め、「私にはね、色んな感性があると思うんだけど・・・性的な感性とか。その辺も表現してみたい」と語る川越さんは、笠木忍嬢があと10歳年を重ねてちょっと険のある顔つきになったらこんな感じというようなお顔で、フェラチオする時はいきなり竿からパクリとはいかずに玉の方から舐め始めるのですが、川越さんがほんのちょっと舌を這わしただけで「ああぁきもちいい〜そんな、ああ・・・下の方からすごい。知ってるね奥さん男の気持ちいいところ。下の方からうわすごいっ。ああきもちい、うわ〜すごい玉舐めじょうず。すげぇコーフンしちゃう。玉舐めすっげー上手。うわぁ〜玉舐めすごい。はぁぁきもちい。あ〜すげえ玉舐め」と、一気にこれだけの言葉を口走る松尾監督。川越さんたらどれだけ玉舐めが上手いのかと(笑) その絶妙な舌加減を想像させられるのでありますが、この時点でもうすでにターボ全快になっているふたりのセックスに、有無を言わさず呑み込まれ目が離せなくなります。


おっぱいを揉まれただけで、それまで隠していたマゾっけと獣のような欲情がマグマのように噴き出し、松尾監督に生でハメられると「こうして欲しかった」と喘ぎながらも、もっともっと凄いことを望んでいそうな川越さんの猛烈なエロパワーに、松尾監督はもう一人の助っ人(車で待機していたカメラマンの吉田さん)を呼び、3Pへと展開。どこかヒキ気味にも見える吉田さんのおちんちんに喰らいつき勃たせると、窮屈そうなソファの上で自ら跨ってこれまた生でズブズブと挿入する川越さん。
この状況をどうしたらもっとエロくなるのか、頭で考えてではなく、本能で、場の空気をエロい方向へと、その圧倒的なパワーで引っ張っていく川越さんの姿、痴態。これはまさに「エロを表現」しているという言葉がふさわしいのかもしれない・・・そう思いました。事後、粘っこそうな精液を顎から滴らせながら「ザーメン美味しい」と仰る奥さんに、監督も「やっぱり素人志願兵っていいっすね」とご満悦のテロップ。


なんかもうこれだけで見ている私も精魂抜かれた気持ちになり、早くも「お腹いっぱいです」といった感じになってしまうのですが、次に出てくるお方がまた凄いのです・・・。


「お顔、声、スタイル、仕草、エッチ...すべてがAVのためにあるような彼女」と松尾監督が最上級の賛辞を贈る史上最強の志願兵MIKIさん。もうこの人の素晴らしさと衝撃は、どんな表現でどんなに言葉を尽くそうとしても伝わりきらないのではないかと。もうなんか、私のこんな文章を読んでいる場合ではないですよ! 今すぐこの作品を手に入れてとにかく見てみて下さいよ! と言いたいです。
ルックスはですね、林寛子さんをシャープにしてフェロモンの粉をさらに100倍ふりかけて全身つるっつるにした感じなんですけど、とにかく信じられないくらい魅力的なのですよ。松尾監督とは久しぶりの再会らしく「寂しかったです。忘れられなくて。熱い・・・セックスが」と、まずは笑顔でかますのですが、そこから先の怒涛の展開は『僕の彼女を紹介します』での絶倫Sぶりはどこに行ったのだろう? と思う位に松尾監督が押され気味なんですよ。というか翻弄されているんですよ!
ホテルではなく、人気のないビルの階段で「ドキドキしますね」なんて言いながら余裕の笑みでフェラチオしているMIKIさんなのですが、この場面を見ると松尾監督の方がドキドキしてる感じなんですよ(笑) 床に置いたカメラのアングルはもうバッチリなんですが、MIKIさんがおちんちんをしゃぶった瞬間「あ、やらしい・・・スケベな女・・・」と小さな声で余裕なさげな笑みと共に呟く、その「一瞬カメラを忘れ素に戻って思わず漏らしてしまった」みたいなこの声この表情に、MIKIさんの凄まじいエロさと、いつ人が来てもおかしくないこんな場所でこんなエロい美人さんとこんなスケベな行為をしているというこの状況に異常興奮している松尾監督の動悸がすごい迫力を持って伝わって来て、見ている人間(というか私)の煩悩をグラグラと揺さ振り、頭をクラクラとさせるのであります。
ホテルに入ってからもMIKIさん(おどろくことに、まだハタチなのだそうな)の魅惑のセックスパフォーマンスは続くのですが、ちょっと興味深かったのは、服を着てブラ着用の時には目が眩むような美巨乳に見えたMIKIさんの胸元が、ブラを外して正常位でガンガン突かれている時には、そのおっぱいの揺れ方が子供のひとりふたりいそうな生活感を伴って見えたところでしょうか。
そういえばMIKIさんの素性はこの時点でも(説明されていないので)全く分からず、「詳しく語れない事情がある」とテロップでも曖昧にぼかされていましたが、MIKIさんがビデオに出たのは、本人がセックス中に言っていた「いっぱいおちんちんしゃぶってぇ〜いっぱいおまんこん中入れてぇ〜そういうことがずっとしたかったのぉ〜!」そんな凄まじきセックス好き好きぶりとはまた違う次元にある、計り知れない何らかの事情があるからなのでしょう。それを明かさない(明かせない訳がある)からこそ、ずっとずっと永遠に謎めいた麗しい美女のままでいてくれる。そんな極上のファンタジーがここにはあります。



今作は[PORNOGRAPH]で発表された『女優に志願』というシリーズから抜粋された3篇が再編集されて収録されています。厳密に言うと『私を女優にして下さい』を復活させる為に撮られた撮り下ろしではなかったのでしょう。
松尾監督の近年の傑作というと『パラダイス オブ トーキョー』『くるみのブログ』『ハメドリズム』などの非・素人ものが多かったように思えますが、そんな中、顔に目線(サングラス)ありでのカンパニー松尾監督の素人パワーが炸裂した『僕の彼女を紹介します』は大ヒットを記録。そしてこの『私を女優にして下さい AGAIN』がリリースされました。なんとも絶妙なタイミングでの復活だと思います。堀内監督の『ALICE』の大ブレイクもあり、息を吹き返したハマジムの戦略として「今なら売れる」という見込みもあったのだと思います。しかし、松尾監督はただ売るだけの金儲けの為だけでこのタイトルを復活させた訳では勿論ないし、お客さんを単なる懐古趣味に落とし込み「懐かしいね〜」と言わせる為に作られた訳でもないし、感傷を誘う為にあのテーマ曲を鳴り響かせた訳ではない。
それはこの作品を見れば分かります。


3人目に登場するのは、かつて『私を女優にして下さい 同級生SP』(2001年・V&R)に出演し、一度は普通の生活に戻りAVを辞めたものの、何かに引っ張られて、何かに惹かれ、導かれ、自ら再びAVに戻って来たNANAさん。


変わりゆくもの、変わらないもの


同じ遊園地へ行き、同じ観覧車に乗り、松尾監督は綺麗になった彼女との再会を喜び、セックスをします。
5年前とは変化を遂げた彼女の身の回り。そして、AV(松尾監督)に何かを求めてやって来た、彼女の中の変わらないもの。


作品のラスト、エンドループするかのようにサンプリングされたテーマ曲が流れ、そこに「シリーズ1作目からもう、16年」と始まるテロップで、松尾監督は自分を「今」へ導いた、ある女優への想いを綴っています。『私を女優にして下さい』ファン、そしてその女優を愛した人なら誰もが涙腺を刺激されてしまうこと必須なのですが、突然音楽は止まり、松尾監督の「これから」へ向けての意思と希望のような言葉と共に作品は終わります。


個人的な話しをさせていただきますと、私は18〜21歳までの3年間、他愛の無い理由で引きこもり、誰とも話さず毎日家で一日中AVばかり見ていました。そんな時にカンパニー松尾監督の『私を女優にして下さい』シリーズを見ました。近所のレンタル店にあるものは全部見ました。そして『片親スペシャル』での「いつか死ぬからハメるんだ」という言葉に勇気(といったらいいのか)を貰い励まされ、自分の中で閉じこもるのはもうやめて、外に出て行こうと決意しました。
でまあ今現在、色々な人に迷惑をかけながらこうしてしぶとく生きているわけですが・・・そんな個人的な思いや感慨をひっくるめ、思わずこう思います。
AVを見ていてよかったなと。