『浮気投稿【露出拘束×生ハメ熟女】』

自分が年を取っていくことに不安を感じている女性がいたら、この作品をお薦めしたいです。


『浮気投稿【露出拘束×生ハメ熟女】』(ドリームチケット)


昨年のAVOPEN参加作品なのですが、なんでも売り上げは16作品中最下位だったらしいです。
このタイトル、そしてどう見ても「NOT美熟女」な素人の熟年女性…というか普通のおばちゃんが堂々顔出しで縛られていたりするマニア風味満点なパッケージ。購入層もそりゃあ絞られてくるでしょうし、ビリケツさもありなんという感じでもあるのですが、これが結構面白かったのです。


今作の主役である【生ハメ熟女】こと沙也子さんは、40代前半の人妻さんなのですが、言ってしまえば田舎町に住む「ただのおばちゃん」です。でも、カメラの前で取り繕ろい、人の目を意識して痴態を演じる「美熟女女優」にはない生々しい「本物の熟女臭」をこれでもかというほど醸し出しています。
そして、そんな沙也子さんと3週間前に知り合い、調教し、何でも言うことを聞く従順なマゾ女に仕立て上げた熟女マニアの「むじな丸」氏(57)。
この二人のマニアカップルを、監督・平野勝之が追ったドキュメントなのですが、こんなもの(失礼!)をメーカー代表としてAVOPENという舞台に出したドリームチケットの度胸には恐れ入るというか、その潔さに脱帽します。


沙也子さんは、熟女好きのAVユーザー好みの熟女ではなく、撮影に同行した男優・菊淋氏が言っていたように、正に「熟女マニアが選んだ熟女」。決して万人好みの容姿ではないです。最初に画面に出てきた時は、「えっ? この人で110分いくんですか?!」と思わず驚きと不安を感じました…。それでも最後まで興味を持って面白く見れたのは、このカップルの生態の面白さや人間味、そしてマニアの生き様(主にむじな丸氏)みたいなものが、平野勝之eyeを通して活き活きと伝わってくるからでしょうか。


山奥の車中で平野監督にフェラ&セックス、むじな丸氏に縛られ川辺にて全裸で露出プレイ、休憩2500円(!)のモーテルにてADとセックス&男優・むじな丸氏と3Pというメニュー。


特別「熟女好き」というわけでもないと思われる平野監督なので、沙也子さんには「このおばちゃんじゃ無理だわ。俺勃たないよ」と始めは思ったに違いないと思うのですが、山奥の車中にて二人きりになって「この肌はハマる人いると思うよ」とか言って沙也子さんのタルタルの肌を褒めながら、結構愉しげにセックスしている姿がなんだか可笑しく、見ていて楽しい気持ちになってきます。沙也子さんの、子ども3人を産んでダブついた象さんみたいな腹周りのお肉は、画面で見ている限りはかなりの上級者向けという感じなんですが、実際抱き合ってみるとそのタルタル具合がいい感じにフィットして「たまらん」ということになるみたいで。平野監督の反応を見ていると、そんな熟女マニアの人の気持ちが一瞬分かるような気にさせられたりもしました。


「熟女には香りがありますから」「20代のキャンキャンギャルには全く興味ない」(キャンキャンギャルって…)というむじな丸氏の言葉にはなかなかに含蓄があり、沙也子さんについて、「(彼女は)どうでもいいような人生を歩んでましたから。僕と出会ってこういうことをすることによって、一種ひとつの道を作ったというか。こんな私でも出来るんだと」と語っているのですが、その言葉には「田舎町の生活に退屈していた平凡な主婦である沙也子さんを救い出したのは自分なのだ」という自負みたいなものもあるのでしょうが、自身の征服欲を満たすというのとは別の感覚で、そういう女性が輝きを取り戻していく様を見るのが好きなのだろうなぁと。世話好きというか、情に脆そうというか、そんな人間臭さのあるむじな丸氏と、40代にしてセックスの愉しさに目覚めた沙也子さん。このふたりの関係に、私はちょっと惹かれるものがありました。


まあそれは、今年で私は30歳になり、たまに「男の人から相手にされたり可愛がられたりするのはいくつまでなんだろう」と考えたりすることがあるから、なのでしょうが…
私だけではなく、もし自分が年を取っていくことに不安を感じている女性がこの作品を観たら、救われる気持ちになるのではないのだろうかと思うのです。もうとっくに若さなんかなくなって、決して美しいとは言えない体を晒しながら、それでも、そんな自分に欲情して、「可愛い」とか言ってくれて、カラダだけでなく心までも抱きしめ可愛がってくれる男性がいるんですよ。これを希望と呼ばずして、他に何を希望と呼ぶのかという感じですよ。


むじな丸氏はルックスは赤塚不二夫系なのですが、声がとても良いのです。聞いていて安心感と心地よさを覚える低音で、その響きには色気と温かさがあり、とても魅力的ないい声をされています。調教師向きなんですね。その威力たるや、私が35過ぎたら(氏の許容範囲は35歳以上から)むじな丸氏のところに行こうかと思うほどでありました。


この作品でオナニーできた方ってどれくらいいらっしゃるか分かりませんが、私的には最後の菊淋さんとのセックスと、ボーナス映像の車中でのむじな丸氏によるローターとバイブ責めはかなりグッときて、しっかりオナニーできました。特に後者のシーン、始めはただのおばちゃんだと思っていた沙也子さんがクリトリスへの刺激で全身全霊本気で感じた瞬間、なんか急にシンデレラになっちゃうんですよ。すっごい綺麗に見えてしまうんです。そこに興奮します。



この作品を観て、むじな丸氏と沙也子さんのマニアカップルを見て、なんとなく、思い浮かんだ曲がありました。


【好きで生まれてきたわけじゃない 
選んで暮らしてこれたわけじゃないけど 
好きで生きていたい】


SIONの「好きで生きていたい」という曲です。