ドグマ・ノーマルKIM監督の現場

ということで、ノーマルKIM監督のD−1作品の撮影現場に行って来ました。

私がお邪魔したのは2日撮りのうちの2日目だったのですが、この日はオーディションで大塚さんと瞳さんが演じたあのシーンの撮影が行われる日。
現場にはさぞ張り詰めた空気が漂っていることだろう――と思いながら現場に到着すると、撮影の小道具として置かれていた金魚鉢で泳ぐ金魚を見て、「またウンコしたぁ〜」「朝から元気だねぇ」などと、屈託のないかけあいをする大塚さんと瞳さんの姿がありました。

『冷たい性欲の少女達』 

それが今作品のタイトルです。

決して気持ち良いだけではない、痛みと哀しみを内包したセックスという行為。セックスにすがる事でしか繋がれない、生きていけない、不毛な関係性。そんなセックスを通して描く、人の孤独。そして、KIM監督の想う「エロ」というもの。

榎本ナリコの『センチメントの季節』という漫画がありましたが、あれはどんなに「セックスシーン」が描かれていても、切な過ぎてオナニーが出来ない作品でした。
「セックスの哀しみ」というテーマ。文学や漫画の世界でなら、その深みのある物語が共感を生み、それこそ賞も獲れるような作品として昇華させることも出来るのでしょう。
しかし、KIM監督が撮るものはAV。手っ取り早くエロが見たい人がもっとも嫌うであろうドラマもので、そんなシリアスなテーマに挑んだのです。

な、なんというチャレンジャーかと…

KIM監督はこう話していました。

「最近思っていたのが、判り易いエロが多すぎるなと。あまりにも直接的というか、オナニーアイテムとして特化し過ぎてる。まぁそれが僕らの仕事ではあるわけですから、もちろん僕もそういうのを撮るけど、D−1でやるんだったらちょっと違うやろって。今しか出来ないものを撮ろうと。無謀な試みだとは思うけど、ドラマでやってみようと」

AVを観ている人達の中には、「とにかくハメシロ派」「モザイクは薄けりゃ薄いほど良し!」という方もいれば、「セックスに到るまでのプロセスこそがエロ」という方もいる。

KIM監督が撮ろうとしているのは、もちろん後者の作品です。

「セックスに至る過程としての心情や葛藤をどれだけ伝えられるか」
「役者さんが演じる登場人物の感情をセックスに結びつかせたい」

そのことにこだわって書き上げた脚本で、瞳さんは芝居の最中、自然に涙を流し、大塚さんはこれ以上はないという程気持ちの入ったセックスを魅せた。

撮影合間のインタビューで、瞳さんがこんなことを言っていました。
「架空のれんとひなと思って欲しくない」

この言葉を聞いてハッとしたのですが、AVで女の子の内面、素を見せるという名目で撮られたドキュメントものは多いけれど、女の子の内面を描こうとするなら、それはなにもガチンコのドキュメントだけが方法の全てではないのだなぁと。

瞳さんは現場でスリッパ代わりにディオールのサンダルを履いているような見た目通りのギャルですが、今までのビデオの現場(ギャル痴女とか凌辱系が多いのでしょう)で見せて来た「瞳れん」よりも、「この瞳れんが本当の私なんだ」という想いが、その言葉にこもっているような気がしました。

D−1オーディションレポ続編

その模様はまた後日…と言いながらあっという間に1ヶ月が経過してしまいました。

ドグマのD−1オーディションの公開監督面接で、個人的に楽しみにしていたのが鷲本ひろし監督だったのですが、期待通りの鷲本監督的こだわり満載のオモシロ面接でした。

選んだ女優さん達に監督が持参したスポーツウェア(体にピッチリフィットするもの)を着させて、乳首の浮き具合をチェック(指で立たせるんじゃなくて、ウェアの上から乳首を擦ったり、ウェアと乳首の摩擦・衣擦れで立たせるよう要求していました)したり、おっぱいの揺れを確かめるために、階段を駆け下りる女優さんと一緒に監督自身も同時に階段を駆け下りて(笑)真横からそのおっぱいの揺れを確かめていたりしていました。
他には接客経験の有無しを訊いて、満面の営業スマイルを要求したり、鷲本監督がお客さん役になってボールペンをおちんちんに見立てて手コキ(逆手にこだわっていました)をさせ、射精させた後の女優さんの反応&対処の仕方を丁寧にレクチャー。鷲本監督的には、「あ〜らイッちゃったの? 気持ちよかった?」なんて言葉は邪道のようで、意味あり気な笑みを浮かべ、あくまで店員と客の距離感から醸し出される接客のエロスにこだわっていました。
面接中に、つゆの優さんから「何故私を選んでくれたんですか?」と訊かれ、「疼いたんですよ」と答えていた監督。素敵です。
そんな監督に、私は疼きました。

もうひとり、印象深い面接をされていた監督がいました。

D−1初参加のドグマ社員監督・ノーマルKIM監督。
オーディションの時点で既に作品の内容はほぼ決まっていたらしく、ドラマものであるというその台本の一場面を大塚ひなさんと瞳れんさんに演じさせていたのですが、これが凄かった。

【友達同士であるひなとれん。れんが部屋でセックスしているところにひながやって来て、その姿を目撃する。れんのセックス相手はひなの元彼。その瞬間、友情は崩壊し、お互いに罵声を浴びせあいながら取っ組み合いの喧嘩を始める】
というシーン。
始める前にKIM監督は、「照れないでやって欲しいんだ。ここで照れたり素に戻られたりしてもしょうがないんで」と二人に伝え、観ている観客の人達にも「僕が『ハイ本番』と合図を出すので、皆さんにも声を揃えて言って欲しいんです」と求め、その場を瞬時にして特殊な空間へと作り上げていました。大塚さん・瞳さんを芝居に没頭させる為の空間作り。様々な雑音の混ざる面接会場で誰よりも大きな声を張り上げたKIM監督の「ヨーイ、ハイ!」を合図に、その芝居は始まりました。
ソファでひなの元彼に馬乗りになって腰を振るれんを見つめる大塚さんの目が、すでにその役柄に憑依したかのような、鬼気迫ったものになっています。その気迫を察知した瞳さんの体からも、尋常でない大きなエネルギーが発せられている。その様子を、椅子に座り腕組みをして真剣な眼差しで見つめる監督。
そして二人は髪の毛をつかみ合い、「ほんとは淋しいんだろ!」と互いをなじりながらビンタを何発も張り合い、迫真の演技を展開。
監督の「ハイ、カット!」の声が掛かると、それまでの緊張が一気に解けたのか、二人は泣きながら抱き合い、「大丈夫だった?」と心配しながら、ビンタの際に吹っ飛んだネックレスとピアスを探していました。その姿は、先程までの鬼気迫る様相とは別人のような可愛い二人の女の子なんですよね。
この様子を観客に混じって見ていた長谷川ちひろさんが思わずもらい泣きしていたのですが、私もちょっとうるっときちゃいました。「凄い。いいもの見れたなぁ」と、ゾクゾクと興奮を覚えたのです。

この面接を目撃してから、今までノーマークだったノーマルKIM監督が俄然気になり始めまして、幸運にもKIM監督のD−1作品撮影現場に行かせて貰えることになりました!(ビデオ・ザ・ワールドの取材です)。

ということで、先日行われたその撮影の模様は、次の日記で書かせていただきます。

ビデオ・ザ・ワールド7月号に掲載されているD−1オーディション記事の訂正を3つほどさせて下さい。


まず1つは、松本和彦監督が撮っていた「Mビジョン」(女優さん全員のおまんこをメインに撮影した映像)ですが、D−1オーディションのDVDの特典ではなく、松本監督のD−1作品の特典に付きます。

2つめ。オーディション参加女優一覧の中に、七瀬かすみさんの名前が抜けていました。

3つめ。「山吹センリ」と紹介されている写真の女性は「さとう和香」さんです。

どうもすみませんでした。


この3つの間違いに気付かれていた方がいらっしゃいましたら、木下宛てにメールを下さい。
オーディション会場で私が個人的に携帯で撮ったTOHJIRO監督の土下座写真をプレゼント致します!(…嘘です)

第3回D−1クライマックス公開オーディション

あれから早くも1年が経ったとは。
ドグマの第3回D−1クライマックスの公開オーディションに行って来ました。

朝も早く9時半より開始された今イベント。
私が会場に着いた時は監督陣の入場の最中でした。入り口の所で入場前の監督達が勢揃いしていたのですが、こういう場において、いつ何時も、どの監督よりも入場シーンに命をかけている松本和彦監督が、♂♀マークのプリントされたオリジナル(?)の衣装を着て、すんごい緊張しながら落ち着きなさげに出番を待っている姿が印象的でした。会場のお客さんに大量のDVDやらTシャツやらをバラ撒いて場内を沸かせていたのですが、その過剰なサービス精神=見栄っ張りさが、なんだか可愛らしく思えちゃいましたね。
その松本監督のバックダンサー(?)として、胸元がガバッと開いた服を着た麻美ゆまさんがビデオで観た時とおんなじ“ビックリした顔”をして待機していまして、すごい間近でその胸の谷間を目撃したのですが、全くエロさを感じず、「ああ健康的なお色気ってこういうものを言うんだろうなぁ」と思いました。

そんな喧騒の最中、監督席では松嶋クロス監督が黙々とメイク(この日、別会場で行われるバンドのライブの為の?)に勤しんでいたのですが、それが済むとおもむろに壇上に上がり、舞台上に揃った60名の女優を眺め、「過去に撮ったことのある」という4名の女優さんの名前を呼び、「時間ないから」という理由で勝手に別室にて面接を始めていました。
同日にイベントがあると分かっていながら誘ったのであろうドグマ側は、何も言わずに松嶋監督のその行いを受け入れていましたが…。面接が終わると、オーディション途中の舞台に割って入り、「選考結果はライブ会場から生中継で発表しますんで」と言い残し、お昼頃に早々と退散。まあ色々しょうがないんでしょうが、松嶋監督の公開面接が見れなかったというのは残念ではありました。

今年はなんと62名の女優さんが参加。(うち2名は体調不良の為、欠席でした)
第1・2回目のD−1に出場された女優さん(大塚ひな・麻生岬・持田茜結城リナ・沢井真帆)がいたりするのが今年の傾向の一つという感じでした。すでに人気も知名度もある企画女優さん、全く知らなかった無名女優さん、「何故この人が?」という単体女優さん、ドグマ作品でお馴染みの女優さんと、バランスの良い顔触れ。「私を撮ってください!」と懸命にアピールする人もいれば、マネージャーから言われるがままにココに来たという人もいたり、「AVなんだし、とりあえエロアピールしとくか」的な人など、色々な人がいました。

これだけ大勢の人が裸でいると、一人一人の裸にありがたみが薄くなってくるものですが、その中でも私が「裸(でいること)がエロい」と感じた人は、8番の伊藤あずささんと13番の加護範子さん。
伊藤さんは、「中学生の時…知らないおじさんにパンツを見られて…『君はお母さんのおまんこから生まれてきたんだよ。君はおまんこなんだよ』と言われました。この仕事を始めてから…自分はおまんこなんだと確信しました……」という体験を告白していたのですが、これがなんか、「AV女優のエロアピール」というよりも、「その辺にいるごく普通の女性の性的体験」を聞いているような生々しさがあって、妙にイヤらしさを醸し出していました。一対一で伊藤さんからこんな話しを聞かされたら、即押し倒したくなると思います。「君のおまんこ見せてよ」とか言って。
監督席からのK*WEST監督の「おまんこ見たくなっちゃんですけど」発言に、心の中で「ナイス!」と思いました。

加護さんは、「周りの皆さんと比べて自分はあんまりエロくないなと思います。自分がHだなと思うところは、お尻を叩かれるのが好きなところです。今までのHな経験は、小学4年生の時に小学6年生の子にあそこを触られました」と、無邪気にナチュラルボーン・ロリな口調で語っていたのですが、TOHJIRO監督から「そこで股開いてオナニーしてみて」と言われると、「やだぁ恥ずかしいぃ〜できないぃ〜」と泣き出してしまったのですね。ロリには特別興味のない私ですが、これには萌えました。グーにした両手を口元に当てた、俗に言う“ブリッコ泣き”ですよ。絶滅したかと思いましたが、いましたよ、こんなところに。場違いにも程がありますが、すごい新鮮な気持ちになりました。
こういう娘は思いっきり愛でて自分に懐かせておいた後で、意地悪なことしていっぱい泣かせてみたいですね。で、ちゃんと慰めてあげて、「ごめんねごめんね」とか言ってまた可愛がって、またヒドイことして慰めて…ってそれはビーバップ・みのる監督ですね(笑)。

アピールが印象的だったのは、25番の沢井真帆さんと59番の山吹センリさん。
沢井さんは、着衣アピールの時から神妙な顔付きで「私は特別可愛いわけでもスタイルがいいわけでもなく、どこにでもいるような女の子です。唯一アピールできるのは…変態だということです」とか言っていて、なんだか様子が妙だったのですが、下着姿でのエロアピールになってからは、「私の変態でイタい人生を聞いて下さい」と語り出し、7歳の時にレディコミを初めて読み興奮し、8歳の時に両親のセックスを目撃し、母親のあえぎ声を思い出しながらオナニーし、10歳で友達とレズ的行為、13歳(? この辺幾つの時だか聞き逃しました)の時に登校拒否をし、AVを観ながらオナニーを経験し…と自身のエタ・セクスアリスを語り出したのです。14歳で初体験、「相手は学校の先輩だとインタビューでは答えていたけれど、本当はテレクラで知り合った30代の男性です」と細かいディティールを交え、高校生でネットの「レズ出会い系」にハマり、何度か会ったりしながら、「正直、あまりいい娘がいなくて…レズがしたくてAVに出ました」と、もう誰にも止められない感じで語った後は、「イクまでオナニーしていいですか?」と本気のオナニーを開始。なんかもう、D−1とかAVとか超えちゃっている感じの凄みが沢井さんにはありました。

山吹さんも、ある種何か超えちゃっている人で、「エロスとは、芸術です。そして愛です」と独自のエロス論を語り出し、「自分は潮が吹けないのが弱点であるが、それ以外の色々な表現を持っている」と力説し、「私の命の源」というマイバイブ(「オナニーした後、洗浄してません」とのこと)でオナニー。終わった後、「尾崎豊みたいだったね」と誰か(どの監督だったか忘れました)が言っていたのですが、マジにそれくらいのカリスマ性を感じました。インパクトと場内の爆笑度は1番だった山吹さんに、木下奈未賞を差し上げたいです。

あと、昨日の日記に書いた萩澤カルメン監督の『かわいい女の子の飼い方』に出演されていた瀬戸ひなたさんがいて、ナチュラルなロリぶり(作為のない自然な内股が本物ロリを感じさせられます)を炸裂させていました。

監督達の審査によって60人から35人に選考され、お楽しみの公開監督面接が始まるのですが、その模様はまた後日書きたいと思います。


最後に、みのる監督がある女優さんに言った名言を皆さまにお届けします。

フェラチオされるより、美味しい焼きそば作ってくれた方が嬉しいんですよ」

はにかみAV監督? 萩澤カルメン

世間では、若干15歳のプロゴルファー・石川遼君が『はにかみ王子』と呼ばれて話題を集めていますが、AV界にもいるんです、はにかみ王子が。

1983年生まれの若干23歳。V&Rプロダクツ所属・萩澤カルメン監督。

先日、ビデオ・ザ・ワールドのインタビューでお会いして来たのですが、石川君なんて目じゃないほどの“はにかみっぷり”が印象的でした。

萩澤監督は、今年のAVOPEN・チャレンジステージに『かわいい女の子の飼い方』という作品でエントリーした、入社歴1年半の新人監督さんです。
今まではV&R作品の総集編の編集なんかをやられていたみたいですが、パート監督の経験も無し、現場でサブカメさえも満足に経験させられぬまま、いきなりAVOPENの大舞台でデビューという事らしいので、ある意味これは本当の「チャレンジ」という感じですね。

V&R入社前は服飾関係の専門学校に通い、古着屋で働いていたという人なので、パーカーにジーパン&キャップという普遍的スタイルをサラッと着こなすイマドキの若者という風情だったのですが、そのシャイな感じの素顔と、年上女性にモテそうな愛らしいはにかみぶりからは意外な「暗さ」と「鬼畜さ」を秘めているところが面白かったです。

ご本人はロリコンらしく、作品でも「瀬戸ひなた」さんというロリな娘を起用し、彼女を『人間』ではなく『ヒト』という動物として飼う、という内容になっています。
インタビューの際、萩澤監督は「作品の最後に本当は○○をしたかったんですけど、社内の人の意見で却下されちゃいました」と言っていて、思わず「えっ? そんな可愛らしい笑顔で、そんな事したかったんですか?!」と、ちょっと驚いたのですが、本人的には現在のV&Rプロダクツの明るい作風は苦手であるらしく、小学生の時に『ギニーピッグ』を、高校生の時に平野勝之監督の『水戸拷悶』を観て衝撃を受けたという萩澤監督には、なんら自然な嗜好なのだろうなと合点がいく発言でもありました。

今回の作品について、萩澤監督は「表面的には明るくポップなんだけど、中身はどこかオカシなところがある」と仰っていたのですが、その言葉はそのまま萩澤監督自身を表しているような気がしましたね。(勿論いい意味でです!)

萩澤監督のインタビューは、6月8日発売のビデオ・ザ・ワールド7月号に掲載されますので、「○○って何?」と気になった方、萩澤監督のはにかみスマイルを見たい方は是非チェックしてみてくださいませ。


AVOPEN(と萩沢監督の顔写真)の情報はこちらでご覧になれます。↓
http://www.av-open.com/18over.php

ドグマ6周年イベントレポ

ドグマの6周年記念イベントに行って来ました。
噂には聞いていたドグマさんのイベント。生粋のドグマファンの聖域という感じのするその空間に、私などが入っていっていいのかなぁと思いながら、「女優さんの握ったおにぎりを食べられる」というキャッチーで魅力的すぎるその特典を一度経験してみたく、参加して参りました。


会場は鶯谷にある元グランドキャバレーだったらしきライブスペース。深紅のビロードカーテンにミラーボール。浮世を忘れさせてくれるようなレトロな空間がなんともいい感じでした。


私が会場に着いた頃はすでに女優さんが舞台に勢ぞろいしていて、椎名りくさんがキャーキャー言いながらスクリーンで上映されている自身のビデオ『妹たちに犯されたい…。2』にしきりに恥ずかしがって騒いでいるところでした。司会進行役の二村ヒトシ監督に色々ツッコまれていた椎名さん。70年代アイドルの舞台衣装みたいなブリブリのワンピース(私服なのか?)が良く似合ってました。いいキャラされてます。

ちなみに今回の参加女優さんは次の方々。
森下くるみ、星月まゆら友田真希日高ゆりあ、大塚ひな、仲村もも、長谷川ちひろ、椎名りく、松野ゆい、泉まりん、倖田李梨、美咲沙耶持田茜、仲咲千春、青木りん、綾瀬ひめ、岩佐めい。

ああ、もうちょっと早く着いていたらこの女優さん達の恥ずかしがる姿が見れたのだろうに。。(と約1時間の遅刻を後悔…)


舞台上では学生服にビン底メガネで男装した泉まりん(「まりお」君と言うそうです)が乱入。美しい女優さん達に囲まれてビンビンになっているまりお君のおちんちん(すでにオナニーしてます)を見て、「シコッていいですか?」というナイスなジャブをかました松野さんの一声で、二村監督お得意の即興ふたなり&痴女プレイが始まりました。
やたらと堂々とおちんちんをシゴき、めちゃめちゃアドリブの利くまりお君に、責める女優さんの方が照れてしまうという妙な羞恥プレーみたいになっていましたが、二村監督の「男がたまらなくなる言葉を耳元で囁け」という言葉に対する女優さん達の言葉が面白かったですね。

仲村「私クリ大きいんだよ」、仲咲「毎日鏡見てオナニーしてます」、椎名「もうパンツぐしょぐしょ」と、それぞれが自分で考えたエッチな言葉を披露するわけですよ。ビデオの中で痴女になりきって「あなたのおちんちん、○○のおまんこに入れちゃうよ」と言うのなら恥ずかしくはないだろうけど、撮影現場とは違った空間で、台本もなく、自分の言葉でイヤラしいこと言うのって、そりゃ恥ずかしいことですよ。
二村監督の新作『年下の女の子に叱られたら勃っちゃった。』では絶妙なお叱り淫語をスラスラと口にしていた美咲さんが、「そんなにおちんちん大きくして!」と言った後に思わず照れてしまい、次の言葉が出てこなかったりする姿も良かった。でもその後に「なに食べたらそんなに大きくなるのよ!」と続けたのはサスガでしたが(笑)。その言葉に「ハンバーガー」と答えて場内の爆笑をかっさらっていた泉まりんさん。こんなにアドリブ達者な人だったなんて知りませんでした。感心しちゃいましたよ。
女優さんに「おまえ可愛いな」と何度も繰り返し言っていたまりお君に、「可愛いなの一言で女は支配できると思ってんだろ。女はそんなに甘くないんだよ」とツッコんでいた二村監督。女優さんひとりひとりに見せ場を与え、お客さんの期待を裏切らない見事なエンターテイナーぶりを発揮していました。
最後のおしっこのようなまりお君の豪快な射精ぶりには、最前列のお客さんからブーイング(?)が起こってましたが(笑)


大盛り上がりのふたなりショーの後には、ドグマの新人監督の紹介や、3月でwaapを退社され直ぐさまドグマで撮られたというK*WEST監督の新作『BODY JACK』(主演・松野ゆい)の予告編上映や、TOHJIRO監督の大作『七人のM女』に出演した七人のM女軍団が縛られて登場し、縛師・奈加あきらと共に撮影エピソードを語ったりの宣伝タイムがあり(美咲さんの「私もM女軍団に入れて下さい」発言もありました)、第3回D−1クライマックスの参加監督発表へと続きました。

今年の監督はこんなメンツです。
TOHJIRO、二村ヒトシ、ビーバップ・みのる、ばば☆ザ☆ばびぃ、松本和彦、KINGDOM、K*WEST、海山公秀、松嶋クロス、加藤鷹、鷲本ひろし。
(参加監督はまだまだ追加で増えていくようです)


飯島愛の引退記念に出ます」と発言された加藤鷹さんの参加は話題作りとしてキャッチーですし、地味な監督陣の絵面が華やぐことでしょう。女優をメロメロにさせる魅力や自らカラめる強みもありますし、「どんなの撮るんだろう?」と単純に愉しみです。海山監督は初めて名前を聞きましたが、シネマジックやアタッカーズでSM作品を撮られているようで、けれど本人はB系ルックスというギャップが面白く、謎めいている分未知数です。鷲本監督の参加は個人的に嬉しいです。AVOPENにも参加しておきながらご本人は一切順位には興味がないという清々しいほどのマイウェイを行く方なので、D−1での立ち回りに興味が湧きます。オーディションでの女優面接がめちゃめちゃ見てみたい! 松嶋監督の参加には驚きました。呼ぶ方も凄いけど出てくる方も凄いなと。「まだ出るか分からないんですが」なんて言っていましたが、是非ともD−1という場を使って思い切り遊んで欲しいですね。


加藤鷹さんと森下くるみさんの青森県トークショーがあり、いよいよドグマ名物・おにぎり&シチュー作り大会へ。
ファンの方達の写真撮影に笑顔で答えながらおにぎりを握り続けるAV女優というシュールな光景に、ドグマというメーカーの真心を感じました。ハレの日の祭りのような、与える側と受け取る側の白熱したラリーのような熱すぎる光景がそこにあり、思わずたじろぎつつも、争奪戦のような試食タイムになんとか分け入って森下さんチームのおにぎりをひとつ頂きました。真心の塊のようなおにぎりでした。美味しかったですよ。(ちなみに中身はツナ。若干握りが甘く、食べるとポロポロこぼれて焦りましたがそんなことは無問題!)


その後は女優さんと監督陣による私物プレゼント抽選会。各自個性が出ていて面白かったのですが、日高ゆりあさんの「デビュー前の写真や自宅でのくつろぎ姿などを収めたミニアルバム」というマニア心をくすぐり捲くるプレゼントは、貰った人嬉しそうでしたね。監督陣では、何故かサイクリングウェア姿で登場した松本和彦監督の「昨日徹夜して作ったターバン野口10人分」てのがインパクトありました。(「ターバン野口」というのは、千円札をある手順で折りたたんでいくと野口英夫がターバンを巻いているように見えるっていうやつです)
徹夜してそんなものをせっせと作っている松本監督を想像すると、涙が出そうになりましたよ。真心とサービス精神の塊のようなプレゼントですね。


そして最後のカラオケコーナーでは、倖田さんが『キューティーハニーのテーマ曲』というキャラに合った曲を色っぽく歌っていたり、友田さんが爽やかに味わい深く『トゥモロー』を熱唱していたり、美咲さんの歌う『歌舞伎町の女王』がやたらハマっていたり、大塚さんの選曲・Coccoの『焼け野が原』を聴いて「ああこういう娘なのか」という発見があったり、CDまで出している日高さんの『サンダルヌゲタ』でのオーディエンスの異様な盛り上がりにビビったり、松野&持田の「ダブルM」の衣装と振り付けの可愛さに見とれたりと色々面白かったのですが、印象的なのは、舞台に上がって場を盛り上げるTOHJIRO監督と、客席でお客さんに混じって手拍子していたみのる監督の姿。

カラオケ序盤でお客さんもそんなに温まっていない時分、友田さんの出番の時だったか、TOHJIRO監督が曲に合わせて両手を挙げてユラユラと揺れていたのですね。コンサートでよくあるような動き。アレをひとりでやっていて。でもお客さんは割りと静かに控えめなノリで見ていて。それを客席で見ていたみのる監督は、そばにいるファンの人ひとりひとりに「一緒にやりましょうよ」みたいな感じで呼びかけて、そのフリを伝えていってたんですね。
そんなふうな光景を見ていたら、なんだか泣きそうになりました。そんな自分が我ながらキモいというのは分かるんですが、ちょっと本気で涙出そうになりましたね。あの「だめんず代表」みたいなみのる監督が一所懸命に、ちょっと慣れないことをしてるような照れを若干滲ませながら、必死に場を盛り上げているんですよ。
舞台では裾で出番を控えていた女優さん全員が舞台上に出てきて一緒に盛り上がっていて、かなり場も温まってきて、そんな中で聴く友田さんの『トゥモロー』がまたやけに優しく心に響き…
お客さんや、女優さんにとっても、この空間てのは特別なものなのだと。皆、このイベントが終わって日常に戻ればそれなりに辛いことやしんどい現実があって、でもこの瞬間だけはバカみたいにハシャいで楽しんでも良いわけで。
そんな空間を作る為に頑張っているみのる監督を見て、「ああ、今日来て良かったなぁ」と思いました。頑張ってるのはみのる監督だけじゃないんですけどね。。。


もうひとつ印象的だったのは、星月まゆらさんの歌。バックバンドを引き連れて何曲か歌う前に、アカペラで『アメイジング・グレイス』を歌っていたのですが、これはちょっと素晴らしかったです。声の震わせ方やブレスの入れ方は拙い感じなのですが、なんというか、星月まゆらの精神性みたいなものがドバッと溢れ出ている気がして、なんだか凄く惹き込まれるものがありました。

イベントのどの時だったか忘れましたが、女優さんが舞台からハケる時、椎名りくさんが舞台に残って客席の方へ歩み寄り、カメラを向けるファンに向かってポーズを取り出したんです。それを見た星月さん、「私もどうぞ撮ってくださいな」みたいな感じで客席の方にやって来て、舞台上のアンプにもたれ掛かり、実に可愛らしく星月まゆららしいポーズを決め、ファンからのフラッシュを浴びていました。その姿を、何と伝えたらいいものか。

感じたのは、我が身を丸ごと投げ渡してファンの為に捧げるという無償の愛のようなもの。そして、「他の子ではなく私を見て」という切実なる希求心、そして飢餓感のようなもの。星月さんという女優さんは、危うい精神性を持った儚い女の子という印象があるのですが、そういう人が持つ表現力の鋭さを垣間見たような気がしました。


ラスト、全員集合での『リンダリンダ』は若干グダグダな感もありましたが、サビの『リンダリンダ〜』のところでピョンピョン何度もジャンプする着物姿の森下さんには、なんだか胸を打たれました。


長くダラダラと書き綴ってしまいましたが、一言で言いますと、ドグマのイベントはとても楽しかったということです。

私とビーバップ・みのるの生きる道?

2006年に観たAVの中で、ビーバップ・みのる監督の『僕と企画女優の生きる道』は、「すごい面白いんだけど、好きじゃない」という複雑な感情にさせてくれる、とても印象強い作品でした。
女の子と同じ目線で接しながらも、あんな風に簡単に騙されちゃうユルい京本かえでを心の中では常に見下して搾取している。そんな非情さを非情だと感じさせないみのる監督のあのフニャフニャ〜とした母性をくすぐるキャラクターが面白くもあり怖くもあり、なんとも凄い人が現われたなぁと畏怖していました。
面白いけど、好きになれない。気持ち的には私は「アンチみのる」派という感じだったのです。

けれど、何故だか気になるものがありまして、あんなにまっすぐな愛情を向けられても、それでも一切心は揺れていないのだとしたら、この人が心から信じられる他人の愛情ってどんなものなんだろう? と、みのる監督の欠陥人間ぶりと、底知れぬ虚無感みたいなものに興味をそそられたり。
また、ある雑誌でみのる監督が発言していた「観ていて嫌味になったり、女の子を見下すような撮り方をしないように気を付けている」「他のD-1作品を観て、ハードな内容に耐えられれば、女の子は誰でもいいんじゃないかと観ていて寒々しくなった。それで、カンパニー松尾監督の『パラダイスオブトーキョー』を急に観たくなって、観たら心が落ち着いた」という言葉がずっと心に引っかかり、この人は現場でどんな風に女優さんと接しているのだろう? どんな風に演出しているのだろう? ビーバップ・みのるって本当はどんな人なんだろう? と知りたくなったのですね。
と、そんな訳で、自ら希望してみのる監督の撮影現場に行かせて貰ったのが数日前。

そしていま私は、まごうことなきビーバップ・みのるのファンです(笑)
自分でもビックリなんですけど、別にみのる監督から甘い言葉を囁かれた訳でも、一緒に住もうよとか言われた訳でも、何かに騙されている訳でもないです。みのる監督の今回の撮影方法や作品に対する考え方は、そのまま、AVの撮影現場というものに対して私が思っていた疑問や違和感に対する真っ当で明確な答えのように感じられたんですね。

女優さんは、みのる作品への出演はこれで3度目となる翔田千里さん。
汁男優20人弱によるぶっかけシーンがあったのですが、翔田さんはザーメンを顔に浴びる度に、発射した汁男優さんの顔を見つめ「ありがとう」と一人一人に感謝の気持ちを伝えていました。それもごく自然に。
終わってOKが出た後も「ちゃんと顔見たかったな。イク時(汁男優さんの発射時)しか見れなかったから」「(撮影後の)挨拶行かなくていいの? さっき(始まる前に)挨拶して良かった」なんて言っていました。こんな女優さんもいるんですねぇ。この言葉を、あの場にいた汁男優さん全員に聞かせてあげたいと思いました。

みのる監督はあのルックスと話術でもって、ある種の(心に隙間のあるような)女の子ならば、簡単に自分の思い通りに出来てきたのだと思います。簡単に手に入るもの(女)を見下しながら、テキトーな相手とテキトーな付き合いしかしてこなかったのだろうなぁということは、『僕と企画女優の〜』を観ると安易に想像出来ます。
でも、そんなテキトーな生き方をしてきたみのる青年が、自分の思い通りにはいかない人間的魅力を持った熟女優さんに触れて、それまでの女性観やらなんやらをひっくり返されて、「人と真剣に向き合わなければ」と心の底から実感し、実践している。
そんなみのる監督の本気(マジ)な心意気が、今回の現場で伝わってきたように感じました。
なんとうか、正しい男の子(というにはみのる監督、結構いい年ですが)の成長物語じゃないかと思ったのです。井浦秀夫氏の漫画『AV烈伝』のモデルに、ビーバップ・みのるを推薦したい! と思うほどに。