業界初のフランス人AV監督

お久しぶりです、木下です。どっこい生きてます。

最近世間では初の黒人米大統領が誕生し話題になりましたが、先日AV界でも『初のフランス人AV監督』が誕生したことを、皆さんはご存知でしょうか。

今月19日にデビュー作『髪結いの女』(ドグマ)が発売された「侍・ヴァン監督」にインタビューさせて頂きました。

個人的な話しですが、このヴァン氏の事はドグマの撮影現場やイベントなどで何度かお見かけしていて、その時は「ドグマにいつの間にか居た得体の知れない外人さん」という認識でした。
初めてヴァン氏を見たのは3年前のTOHJIRO監督の星月まゆらさんのSMものの撮影現場で、その控え室でTJ監督と星月さんと一緒に、何故かヴァン氏がいたのです。「なんだろう、この謎のフランス人は…?」と疑問を抱えたまま日々は過ぎ、昨年、ビーバップ・みのる監督の撮影現場取材でドグマ本社に伺った際、ヴァン氏がADとしてその現場にいたんですね。いつの間にかドグマに入社し、働いていたのです。
その待ち時間の時、ヴァン氏は陽気に日本の歌謡曲を口ずさんでいたり、事務所の棚に並んであった『おチンポ・クリニック熟女病棟』というタイトルのDVDを手に取って、「おチンポ〜、ク〜リニック!」(「高須〜ク〜リニック」のCMのイントネーションで)と連呼していたりして、「なんてアッパーなフランス人なんだろう」と思っていたのですが、今回お話しを伺ってやっと色々な謎が解けたので、詳しくは現在発売中のビデオ・ザ・ワールド12月号を見てみて下さいませ。(カメラマン平沼正弘氏が撮ったヴァン監督のシェーポーズがとってもキュートです)

監督第一作目となる『髪結いの女』は、主演はこの人しかいないだろうと思える友田真希さんが床屋の未亡人を演じるSM作品となっています。

シナリオ作りはドグマの同僚・ノーマルKIM氏と浪花乱交氏と共に行い、ヴァン監督のやりたいプレイ・世界観を大事に活かしつつ、商品としてのAVというシビアな面をクリアしユーザーの方々に満足して貰える作品になるよう配慮したそうです。

作品時間2時間15分の中でドラマ部分は約15分程。ドグマならではのドラマや設定を超えた女優さんの本気の反応と絶頂姿がたっぷり見られるSMプレイに重きを置いた内容になっています。

実はインタビュー時には作品を拝見出来ないままお話しを伺ったので、作品に関する具体的な質問があまり出来ず、記事にも書けなかったのですが、後日ヴァン氏に話しを伺う機会があったので訊いてみたことが二つありました。

作中で友田さんが客の魚河岸の男(佐川銀次氏。ハマリ役です)と生牡蛎を使ったいやらしい行為を妄想する場面があるのですが、何故あんなプレイを思いついたのか訊ねると、「自分の中でヤバイエロスを考えた。海と関係のあるエレメント(要素)を入れたかった。そしてアニマル的なセックスが見せたかった。生牡蛎プレイは見た事がない。TJ監督の作品にもない。私は他の人のコピーはしたくない」

あと、私がもっとも興奮した場面がありまして、それは友田さんが妄想の中で初恋の男(加藤鷹氏)に自身の脇毛を○○される(皆さん想像はつくと思うのですが、完全には知らないで見て頂く方が楽しめると思うので一応伏字にします)場面なのですが、これがすごくエロかったのですね。

「そんなことしないで…主人との約束なの…」と言いながら無情にも男に脇毛を○○され涙を流すのですが、この涙が美しくいやらしいのです。

愛する夫との約束で、貞操を貫く未亡人の身でありながら、しかし心は他の男とのふしだらな妄想でいっぱいであるこのヒロインの心の葛藤が、この場面に凝縮されているようで…
今でも夫を愛しているのも本当だけど、その心の拘束から解き放たれて自分の好きなように、思うように生きてみたい…
友田さんの涙からそんな叫びが聞こえてくるのです。


この場面において友田さんの脇毛は「夫との関係性、深い結びつきと思い出」である訳で、それを○○されるということはあまりに無情な行為であるのに、心の奥底ではそれを望んでいる。このアンビバレンツな心情が、友田さんを、このヒロインの存在を奥深いものとして見せ、だからこそその後のセックスでメス丸出しとなる友田さんを愛しいと思わせられるのです。

ヴァン氏に「何故友田さんの脇毛を○○したのですか?」と訊いてみたところ、「私はワキ毛フェチではない…ずっと『Wワキ毛レズフィスト・ドラッグ』(友田さんと星月さんが共演した作品。勿論二人とも脇毛有り)の時から○○したかった」と言い、「もうひとつ他の意味ある」とも言っていました。

その「もうひとつの意味」が何かは教えて貰えなかったのですが、私が思うにそれはヴァン氏による『打倒TJ監督』的な想いではないのかなと…

この床屋の未亡人・真希と同じように、友田さんの脇毛にはTJ監督の匂いが染み付いている。TJ監督との深く強い結びつき、関係性が凝縮しているような気がするのです。

ドグマでTJ監督は友田さんの作品を5本も撮られていて、そこでのセックス・プレイで女優・友田真希の内面や本性、魅力は全部出きっているといっても過言ではない気がします。そんな人を撮るって相当難しいのではないかと思いますし、監督として「負けたくない」という想いもきっとあったはずです。「TJには撮れない友田真希を撮ろう」という気持ちが。だから脇毛を○○したのだろなと、私は勝手に思うのです。
そんなヴァン氏の「いっちょうぶちかましてやろう」という気概と志しが私は好きですし、だからこそあの友田さんの涙は、あんなにも美しくいやらしく思えたのだと思います。
(まあそんなややこしいことは考えず、単純に私はこの場面でオナニーさせて頂いたのですけどね)


余談になりますがそのインタビューの際、駕籠真太郎の漫画が好きだというヴァン氏に早見純の漫画(『血まみれ天使』)を読んで貰いたくて、半ば押し付けるように手渡したのですが、「エロヤバイ!」と感想を頂き、超嬉しかったです。次回作のヒントに…なってくれるでしょうか…。

日記の更新よりも大事なことなんて

人生にたくさんありますが、久々の更新です。


前回の日記から随分長い間が空いてしまいました。
その間、私木下は何をしていたかといいますと、アルバイト(スーパーのレジ打ち)に精を出したり、YouTubeの『そして僕は途方に暮れる』(大澤誉志幸)のPVを見て何故だか欲情したり、一日かけてカレーを煮込んだり、お店によく来るお客さんが引退した元AV女優のNさんだと気付いたり、そのNさんに品物を袋詰めして手渡した時に「ありがとう」と言われ、「ああ、ビデオではあんなに凄いコトしてるのに普段はこんなに普通の女性なんだ…」とまるで童貞少年のような気持ちで感動したり(勿論その晩はNさんのビデオを鑑賞)、でもって一時期ネット上で話題になっていたNさんの妹さんも一緒に来店されて、その麗しき姉妹が仲睦まじく会話している姿を見てこっそり一人で狂喜乱舞してみたり、その事を興奮冷めやらぬまま弟(27歳・推定童貞)に話したら、「アンタただのキモいファンじゃね」と一刀両断されたりしていました。


そんな私ですが、AVは相変わらず見ていました。

面白かった作品を書いておきます。


『愛しのグッチョリーナ 橘未稀』監督 吉野文鳥
『ロリコス 南雲ひな』 監督 H・H
『大人になんかならないで』 監督 H・H
『温泉美人 涼子』 監督 タートル今田
『初恋 愛里ひな』 監督 タートル今田
『オッパイの大きな女の子』 監督 タートル今田
『秘湯美人 あすか』 監督 平野勝之
『素顔のセックス 香月藍』 監督 村岡哲也
『貴方と接吻しながらオナニーさせてくれませんか?そのほうが興奮しますから、ね。』 監督 パンチ
『Wケバエロ美熟女温泉』監督 パンチ
『萎え寸止め』 監督 笠井貴人
『廊下は静かに 小森愛』 監督 さいとうまこと
『僕の太陽 かわいさとみ』監督 さいとうまこと
『燃えよテレクラ 風はもっと南へ』監督 カンパニー松尾


これだけ見といてほぼハマジムかアロマか往年の宇宙企画という偏り具合もどうかと思いますが、お気に入りのメーカーとか監督というのは「そこに行けば必ずその味が食べられる飯屋」みたいなものである気がするので、色んなお店(AV)があっても、結局いつもの贔屓のトコ、好きな味のところに行ってしまうものなんだなぁと思ったりしますね。


そんなこんなで近いうちに上記の作品の感想を書いてみたいと思います。

公衆電話から聞こえたエッチな声

あれは、確か私が小6の時だったから、今から18年程前の事です。


当時仲の良かった友達と近所の公園で遊んでいた時に、どんな理由かは忘れましたが家に電話を掛ける用事があって、友達と一緒に公園の近くにあった電話ボックスに入ったのですね。そしたらその電話機に黒いペンでとある電話番号が書いてありまして。他にもたくさん落書きされている訳ではなく、誰かがメモ代わりに書いたのか、緑色の電話機に7桁の番号が書いてあって。
なんだろうこれはと。何故だか分からないんですが、その番号が浮き立って見えて妙に気になってしまった小6の頃の私は、家に電話しなくちゃいけないのに、何故かその番号に掛けてみたんですね。なにコレなにコレと。好奇心先行で生きている子供らしさまる出しの行動ですがね。


プルルル〜と呼び出し音が鳴って、つながった瞬間のあの衝撃は今でも忘れられないです。


「ああ〜ん、あ〜ん…」


あえぎ声ですよ。いきなり。
いえ、正確には『あえぎ声』という概念すら知らなかった頃だと思うので、『なんかわかんないけど女の人のエッチな声』が聞こえたんですよ。


「なにコレッ!!!???」と、声には出さず、心の中で叫んですぐに電話を切りました。友達がそばにいましたから。
驚き、動揺しながらも、「どうしたの?」と訊ねる友達に、「ううん、なんでもないよ!」と答える私。
あの時、「なんかエッチな声が聞こえるよー。聞いてみなよ、○○ちゃん」とは言えなかったのは、聞いちゃいけないものを聞いてしまった後ろめたさがあったからでしょうか。
しかし、当時、初潮も来て性に目覚め始めてもいたような小学生の私にとっては、すんごい宝物を見つけてしまったような昂揚感とドキドキ感もあったわけです。


その後、ちゃんと家に電話したのかどうかは覚えてないんですが、その7桁の電話番号はしっかり記憶して、家に帰ってもう一度掛けてみたりするわけです。家族の寝静まった真っ暗な居間の電話機から、ドキドキしながら掛けてみたわけですよ。


すると、今度はあの『エッチな声』ではなくて、どうやらなにかのテープが流れているらしいという事が分かったんですが、女の人が普通に喋ってる声が聞こえるんですね。普通というか、エッチな事らしき内容なんですけど、「いんらんぱふぉーまんす」とか「めかくしふぁっく」とか「いんじょたい」とか、聞いたことのない単語が聞こえるんです。再びなにコレなにコレ! ですよ。
可愛らしい女の人の声で「めかくしふぁっく のどのおくまで」なんて言われたら、小6の私は「めかくしふぁっくって何? のどの奥まで何をどうするの?!」と想像しながら、漠然と「これはとってもエッチなことをするに違いない…」と考えて。(しかし具体的に何をするのかはまったく分からず…)


ずっと聞いていると、「あてなろまんすこーる」というタイトルコールみたいなものから始まって、アダルトビデオの作品の紹介をしているんだという事がだんだん分かってきましてね。


そうです。記憶にある方もいらっしゃるでしょうか? その『エッチな声』の正体は、アテナ映像が昔やっていた『アテナ・ロマンスコール』という新作案内の電話サービスだったのです。


このアテナ・ロマンスコール。
数週間ごとに内容が変わるんですが(もうこんなものを見つけてしまった事が嬉しくて、何日かおきごと聞いていましたもので)、ある日、なんだか分からないけどすごく惹きつけられる低い声の男性が、呪文のような催眠術のような言葉をこちらに投げかけてくるという不思議な内容の回がありまして。どんな事を話していたか記憶が定かではないのですが、聞く者を制御不能の解放感へと導くような内容で、それを聞いていた私はなんだか体が熱くなり、訳も分からないままむしょうにココロと体がムズムズとしだしてしまい、『エッチ』どころじゃない理解不能の不思議な感覚にさせられた事を覚えています。


その「惹きつけられる低い声」の男性は、誰であろう代々木忠監督だったのであります。


とまあそれが私の、代々木監督(アテナ映像)との出会いというかファーストインパクトというか、まあ忘れられぬ出来事なのであります。


その後、テレビの深夜番組で代々木監督の姿を拝見し、「ああ、この人があの声の主だ!」と感激し、またその何年後かにAVを観始めて、「ザ・面接」シリーズや、あの時、受話器越しに聞いた「いんらんパフォーマンス」「目かくしファック」「淫女隊」の作品群を観てまたまた衝撃を受け、さらにその数年後、「ザ・面接」の撮影現場にお邪魔する事になるなんて、人生とは何が起こるか分からないものだなぁと深い感慨が湧きますが、さらにさらに、来月の頭、私は代々木監督にインタビューさせていただく事になったのです! 
「ザ・面接」100本目記念のインタビュー(byビデオ・ザ・ワールド)なのですが、監督の「あの声」を目の前で聞けると思うと、今からもう緊張どころではないくらい緊張しているんですが、そんな私の感慨などはひとまず置いときまして、代々木監督が何を想い、考え、26年もの間、アダルトビデオを撮り続けてきたのか、是非聞いてこようと思います。

お熱いのはイヤ!?

先日放送された『中学生日記』の「お熱いのはイヤ!?」で主役を演じていた女の子(眼鏡っ娘)が、峰なゆかさん(現在1番面白いブログを書くAV女優)にソックリでした。

一生懸命頑張ることが苦手な無気力な女の子が校内の弁論大会に出ることになったてんやわんやを描いた軽〜いコメディ作品(「ちびまる子ちゃん」みたいなタッチ)だったのですが、最後にブルーハーツの曲(『僕の右手』!)が流れたりして、変化球だけど最後はちゃんと「青春ドラマ」に着地していて、思いもかけず「ああ、いいもの見れたなぁ」という気持ちになれる作品でした。
(ちなみに脚本のさわだみきおさんは「せんちめんたるふたり漫才」の脚本家でもあります。この方が書いた『中学生日記』はハズレなしですね)

来週土曜日の朝10時45分からNHK教育テレビで再放送されると思うので、見逃してしまった人、「一生懸命になることが苦手」な人、それと峰なゆかファンは必見です!

D−1・K*WEST監督の現場

引き続き、D−1ネタです。

K*WEST監督の現場に行って来ました。
女優は松野ゆいさん。

D−1オーディションの時に、「あなたを撮りたくてここに来た」と宣言し、監督面接でも松野ゆいただ一人を指名したK*WEST監督。
その公開監督面接では、全裸になり、自らお尻をペシペシ叩き、体を真っ赤に染めながら涙を流して、取り囲む大勢の観客の前で姿見鏡に映る自分の姿を見つめながらドエロいオナニーを見せていた松野さん。そんな松野さんの口にぶっといハリガタを突っ込み、言葉で煽りながら責め、松野さんのM性を引きずり出し、意外なドSぶりを見せつけていたK*WEST監督。

松野さんに対して、「いい奴。いい人間だな。もっとエロいんじゃないかと。もっと奥が深いんじゃないか。彼女ともっと深いコミュニケーションをとりたいなと思いました」と言っていた監督。

D−1での公開調教、そしてそんな監督の言葉を受けて、「K*WEST監督は松野ゆいとハメ撮りをするつもりなのではないか?」と私は勝手に予想していたのですが、全然違ってました…。(見たかったんですけどね、監督のハメ撮り…)

作品内容を一言で言いますと、凌辱系のドラマものでした。
撮影場所となる倉庫の中で、朝から晩(明け方?)まで松野さんは黒人男性やガスマスクを付けた正体不明の男達に凌辱され、泥まみれになりながらボロボロに犯されていました。
映画『SAW』や『CUBE』のAV版とも言える不条理なシチュエーションの中、監督がこだわっていたのは「ヤラレてもヤラレても立ち上がっていく強い松野ゆいの姿」

女性がただただヤラレまくってボロボロにされてしまうようなよくある凌辱作品とは違う、ある演出が物語の中にあるのですが、そこを意識して作品を観てみると、松野ゆいというAV女優の本質(=監督の思う松野ゆい像)が見えてくるという仕掛けにもなっています。

作品の世界観を重厚にする為に美術やセットにも力を入れていて、かなりカッコ良い画を撮っていたので、仕上がりがとても楽しみなんですが、今回の現場で印象的だったのは、なによりも松野ゆいという女性の素敵ぶり。

凛々しく毅然とした綺麗な顔立ちと、色白で透明感のあるめっちゃ綺麗な肌。カラダも綺麗だし、細身なのにムショウにそそるあのおっぱいなんてヤバいですよ。もし女風呂にこんな女性が入ってきたら、とても平常心じゃいられませんよ! こっそり視姦しまくっちゃいますよ! と鼻息荒く訴えたくなるような、もうビジュアル的には最高な女優さんなのですが、中身がまた素敵なのでした。
監督はことあるごとに「男前」と仰っていましたが、確かにサバサバしていて、女の媚とか一切ない話し方で、取材に来ていた私なんかにまで気を使ってくれる人なのですよ。男友達から「おまえっていい奴だな」って言われるタイプの女子っているじゃないですか。松野さんてそういうタイプなんだろうなと。でもセックスになるとガラッと変わって、男心をソソる表情とか声のトーンとか仕草とか、いい女のフェロモンを一気に放出しだすのです。

個人的には、「お菓子食べますか?」とか「ひとりで寂しくないですか? こっちきてお弁当食べませんか?」とか、現場でそんな風に声をかけてくれた女優さんは初めてだったので、こんな女優さんもいるんだなぁと驚き&感激してしまいまして、「こんなに気を使ってくれる女優さんなんていないですよ」と言ったら、「(現場では)皆、同士じゃないですか」と、これまた人を(私だけでなく、スタッフや監督、現場にいる全ての人)感激させるようなことをサラッと言ってのけるのです。女優さんがこんな気持ちでいたら、そりゃ現場の人間皆、気合入るでしょうに。

「(スタッフの人達を見て)なんでこんなに頑張ってくれるの? と感動した」「私が見ていたように、皆にもスタッフ(の頑張り)を見て欲しいと思った」と松野さんは言っていました。

作品を観る人にとっては、その作品で観たことが全てな訳ですから、現場の頑張りだとか、女優さん(監督)の想いなんてあまり関係ないものだと思うんですよ。現場がどんなに良くても、作品がつまらなかったら現場の人達のただの自己満足にしかならないのだろうし、観ている人に何かが伝わらなきゃ何の意味もないのだと思いますし。
ドグマというメーカーの現場は女優さんからの指示がとても高い反面、アンチな感情を抱く人も沢山いるようで。
「でも、本当に素晴らしい現場なんですよ!」と妄信的にアピールするつもりは全くないんですが――

松野さんからこんな話しを聞いたんです。
K*WEST監督との第1作目『BODY JACK』の話しなのですが、雑誌のインタビューで松野さんは「2年半AVを続けてきて、この作品で初めて自分の中のタガが外れた」と言っていたのです。それまではビデオの中でするセックスは、AV女優の「松野ゆい」を本名の自分が客観的に見ているような感覚でこなしていた(この辺は私の解釈です)そうなのですが、「初めて女優と自分の境界線がグチャグチャになった」と。
それまでの現場と、初めてそんな風になれたというその現場、一体何が違っていたのですか? と訊いてみたところ、「まず、演じなくていいと(監督から)言われたこと。それと、この人達の前でなら壊れてもいいと思えたから。私がどんなにおかしくなっても受け止めてくれると思えたから」という答えが返ってきました。現場のスタッフの人達を見て、「この人達に(タガが外れる自分を)見てもらえることが嬉しいと思えた。真剣にやってくれている人達に、(タガが)外れなかったら逆に失礼だと思った」と言うのです。

ビデオの中で女優さんがものすごいドエロいセックスを見せた。その裏にあったのが、「スタッフの人達の頑張りに対する松野さんなりの返答」だった。
多分、オナニーしやすい作品的なエロさだったら、他の松野作品の方が上だったりするのでしょう。こういったエピソードを聞いたところで作品の興奮度が上がるわけでもないと思います。
でも、こういう人と人との“情”っていうんですかね、こういう話しが聞けた時なんですよ、「ああ、この現場に来れて良かったなぁ」と思うのは。
まあこれは、私の自己満足なんですけどね。